『できる人の考え方のルール』(リチャード・テンプラー 著、桜田直美 訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、これまで50言語に翻訳されてきた世界的ベストセラーとして知られる「Ruleシリーズ」の最新刊です。本書は能力やスキルなどの具体的な説明ではなく思考、考え方の方法について解説されたものである
思考の質が上がれば生きる能力も向上することになる。質の高い思考はより明確に効果的に合理的に考えることだ。(「はじめに」より)
本書はスキル等のテクニック本ではなく、思考に対する考え方や心構えの本だと著者は述べています。正しい思考法を身に付けることで、自分を制御できるようになり、私利私欲や勝手な思い込みに惑わされることなく落としに穴を回避することができる思考を習得することができる一冊となっています。
簡単に言えば、普段どのような考え方を持ちながら過ごすかによって、人間誰しも良くも悪くもなり、より正しい選択をできるよになる習慣化の書籍になっています。ぜひ本書を参考に思考法を学んでみてください。今回は第1章、第3章、第9章の各分野の印象的なパートを紹介していきます。
自分の頭で考える
新しい知識や技能を身につけたいなら『エコーチェンバー」の外に出なければならない。エコーチェンバーとは、自分の声がエコーように帰ってくる部屋と言う意味です。これと同じように自分と同じ考えばかり集まるような環境のことに例えられています。
自分自分と同じ価値観を持つパートナーや友人など、ずっと同じ場所に集まり同じ職場に勤めることによって、言うまでもなく変化の少ない、同じ考えで過ごすことになります。しかし、大切な事は同じ考え方に凝り固まるずに、知識の幅を広げ、考え方の異なる人の話を聞いたり、学ばないといけないと著者はもべています。
そうすることによって、同じ価値観に固執せず、さまざまな考え方を取り入れることができ自分と異なる考え方も理解ができるようになるということです。
人間は誰しも変化を嫌う生き物です。この特徴から意識しない限り「エコーチェンバー」からは出ることが難しくなってくるでしょう。著者曰く、その1番の方法は価値観や思考ではなく、人となりで友達を選ぶことだそうです。これはあらゆる年代、文化、家庭環境、社会階層の人と友達になることで解消されます。
自分と違う考え方の人と一緒にいると、自分の頭で考えなければならない状況が生まれます。そうすることで正しい思考の身に付ける上で必要不可欠な環境を作ることができるわけです。
健全な思考を養う
正しい思考パタンを身に付けなければならない。1番効果があるのはポジティブな感情につながる思考法を身に付けることだ(「 健全な思考を養うための15のルール」より)
あなたはどういった時間を過ごすことが多いでしょうか?過去や現在、未来に対して意識をさまざまな方向に向けると思います。その時間に意識を向けても、良い点と悪い点があり、現在である「今、ここ」に集中する生き方をマインドフルネスと言われています。
マインドフルネスは多くの研究が行われていて、不安やストレス、うつ状態の軽減に効果がある事は明らかになっています。きちんと行いたいのであれば毎日そのための時間をとって作る必要があり、そうすることで習慣にできるようになっていきます。
最初のうちは間違いなく思考や感情にとらわれます。もちろん、マインドフルネスも練習が必要というわけです。しかし、練習を積むことで一歩引いて自分の思考を観察することができ、思考にまどわされないマインドフルネスな考え養うことができると著者は述べています。
批判的な思考を養う
思考することの大きな落とし穴は何か?それは自分の考えを裏付ける事実やデータばかりを信じてしまうことだと著者は述べています。この現象を確証バイアスと呼び、これは自分の事実を勝手に解釈したりしてしまう現象をいいます。
確証バイアスは人間の本能な本能のようなもので、自分が正しいと確信するのが気分が良くなるからこのような現象が起こります。しかし、覚えておかなければいけないのが、レベルの高い思考は、必ずしも気分のいいものではないと述べられています。
時には自分の思い込みを検証したり、ある問題に対する考え方を180度転換することで、最高レベルの思考に近づくことができます。
本当のことを知りたいのであれば自分の思考プロセスを厳しく監査することが求められており、気持ちの良いことでは無いかもしれないがそれをやらなければいけないことが求められる思考法として取り上げられております。
今回は様々な価値観にふれたり、自分の考えに対して批判的な意見を取り入れたりと日常生活でも欠かすことのできない思考法について簡単に紹介しました。本書ではさらに詳しくより洗練された思考法について挙げられています。ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか?