この記事でわかること
- 4bitでも832GBという容量が何を意味するのか
- ローカルで動かすならProではなくFlashを選ぶ理由
- OpenRouter経由なら月10ドルで最新モデルを触れる仕組み
- 2Dから3Dまで実際に作らせて分かった得意と不得意
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この記事の要点だけを2分にまとめた解説スライドです。詳しい中身はこの下の本文で解説しています。
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「楽しみにしていたモデルを開いた瞬間、832GBという数字が出て手が止まりました」
DeepSeek V4 Proがリリースされました。重みが公開されているオープンウェイトのモデルなので、手元に落として動かせるはずです。ところが実際にLM Studioで開いてみると、4bitまで圧縮したモデルでも容量が832GBありました。ストレージだけでこれです。
こんにちは、ルーティンラボ(@rutinelabo)です。本記事では2026年8月13日に正式版となったDeepSeek V4 Proを、公式のスペックと第三者評価を確かめたうえで、いつもどおり実際にゲームや資料を作らせた結果までまとめます。先月レビューしたV4 Flashの記事と読み比べていただくと、同じV4シリーズでも立ち位置がまったく違うことが分かるはずです。
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DeepSeek V4 Flashを実機検証|Opus 4.8の97%を1/89の料金で
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結論|個人で動かすモデルではありません

先に結論からお伝えします。DeepSeek V4 Proは、個人が手元のマシンで動かすモデルではありません。組織で使うか、APIやサブスクリプション経由で使うモデルです。
理由は単純で、重すぎるからです。LM Studioで4bitのモデルを開くと容量が832GBと表示されます。8bitではなく、いちばん軽い部類の4bitでこの数字です。ストレージを832GB空けられたとしても、動かすにはそれをメモリに載せる必要があります。ハイスペックなMacBook ProやMac Studioを持っていたとしても、個人で扱うにはかなり厳しいと言わざるを得ません。
楽しみにしていた方には残念な話かもしれません。ただ、これは決してモデルの出来が悪いという意味ではないので、そこは分けて読んでいただければと思います。
もう少し踏み込むと、判断の分かれ目は「賢さ」ではなく「重さに見合うか」でした。仮にこのモデルが手元で動いたとしても、これだけの容量とメモリを常時占有し続けることになります。そこまでのコストを払うのであれば、サブスクリプションのプラン内で使えるOpusやGPT-5.6を選ぶ、というのが正直なところです。
逆に言えば、重さの問題さえ誰かが引き受けてくれるなら話は変わります。クラウド側で動かしてもらってAPIで呼ぶ、あるいは自社のサーバーに置く。そういう形なら十分に選択肢に入るモデルです。この記事では、その切り分けをはっきりさせていきます。
DeepSeek V4 Proの基本スペック

まず、どういうモデルなのかを整理しておきます。数字はいずれも公式ページと第三者の計測サイトで確認したものです(2026年8月時点・公式参照)。
| 項目 | DeepSeek V4 Pro |
|---|---|
| 正式版の公開 | 2026年8月13日 |
| 総パラメータ | 約1.6兆(1回に使うのは約490億) |
| コンテキスト長 | 100万トークン |
| ライセンス | MIT(重みが公開されている) |
| 思考の深さ | low / high / max の3段階 |
1.6兆パラメータというのはかなりの規模です。コンテキストウィンドウも100万トークンに対応していますから、長い資料をまるごと読ませるような使い方には向いています。
100万トークンというのは、日本語の文書でいえば書籍数冊分をまとめて渡せる量です。分割して要約を積み上げるような手間をかけずに、最初から最後まで一度に読ませたうえで質問できます。長い議事録や仕様書を扱う場面では、この差がそのまま作業時間に効いてきます。
参照元はHuggingFaceのモデルページです。ここで1つ、読むときに引っかかりやすい点があります。
モデルカードの「1.7兆」は増量ではありません
HuggingFaceのモデルカードには1.7兆と書かれています。一方で、実際に量子化して配布している側の表示は1.6兆です。数字が食い違って見えますが、これは増えたわけではありません。
差分は「DSpark」という高速化用のモジュールを同梱しているぶんです。本体は約1.6兆で変わっていません。「正式版でパラメータが増えた」と読んでしまうと事実とずれるので、ここは分けて理解しておくと安心です。
「Max」は別のモデルではありません
もう1つ紛らわしいのが「V4-Pro-Max」という表記です。これは別モデルではなく、思考の深さの設定がいちばん上の段という意味です。
| 設定 | 公式が挙げる用途 |
|---|---|
| low | データ抽出、簡単な質問応答、整形 |
| high | 一般的なコーディング、論理的な推論、要約 |
| max | 複雑なソフトウェア開発、数学の証明 |
同じモデルの中の3段階です。深くするほど時間もコストもかかるので、用途に合わせて選ぶ形になります。
832GBという現実|落とせるのに動かせない

ここがこのモデルのいちばん大きな論点です。重みはMITライセンスで公開されていて、誰でもダウンロードできます。それなのに、実質的に個人では動かせません。
LM Studioで表示される4bitモデルの容量が832GBです。配布元によって多少の幅があり、別の配布元では同じ4bitでも850GB、8bitなら873GBという表示になります。いずれにしても800GB台です。
| 圧縮の度合い | 容量の目安 |
|---|---|
| 4bit(LM Studio表示) | 832GB |
| 4bit(別配布元) | 850GB |
| 8bit | 873GB |
同じ4bitでも配布元で数十GB変わるのは、圧縮のやり方が違うためです。細かい話ではありますが、「4bitなら軽いはず」と思って落とすと想定が外れるので、事前に容量表示を見ておくことをおすすめします。
ちなみに公式のモデルページが示している推論構成の例は、GB300というデータセンター向けのノードを4台という規模です。個人のマシンで動かす前提のモデルではない、というのが公式の想定からも読み取れます。
「490億しか使わない」なら軽いのでは、という誤解
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1.6兆パラメータのうち、1回の処理で実際に使われるのは約490億です。この数字を見て「では490億ぶんのメモリで足りるのでは」と考えたくなるのですが、そうはなりません。
このタイプのモデルは、どの部分が呼び出されるかが事前に決まりません。処理の内容によって使う場所が切り替わるので、結局は全部を載せておく必要があります。減るのは計算量であって、必要なメモリではないわけです。
ここは同じくオープンウェイトのKimi K3を検証したときにも同じ構図がありました。大きなモデルが公開されるたびに繰り返し出てくる話なので、覚えておくと判断が早くなります。
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実力|数学は互角、コーディングは少し届かない

重さの話ばかりしてきましたが、モデルとしての性能は高いです。オープンウェイトの中ではかなり上位に位置します。
第三者の計測サイトであるArtificial Analysisの総合指標では、107モデル中3位で53点でした。同じ規模のオープンウェイトの中央値が27点ですから、頭ひとつ抜けている位置です。出力速度は毎秒75.5トークン、最初の応答までが1.67秒でした(2026年8月時点・公式参照)。
ただし、得意と不得意ははっきり分かれます。米国NISTが2026年5月に公表した独立評価の数字が分かりやすいので引用します。この評価の対象はプレビュー版である点だけ、読むときにご注意ください。
| 領域 | DeepSeek V4 | GPT-5.5 | 差 |
|---|---|---|---|
| 数学 | 96% | 96% | 互角 |
| ソフトウェア開発 | 74% | 81% | やや劣る |
| 前例のない抽象推論 | 46% | 79% | 大きく劣る |
数学的な処理は完全に互角です。ここは素直にすごいところだと思います。一方でSWE-Benchと呼ばれるコーディング系のベンチマークは少し届いていません。オープンウェイトのモデルが、サブスクリプションで提供されている最上位クラスにここまで迫ってきたという見方もできますし、この差を実務でどう感じるかはユーザー次第という見方もできます。
個人的には、この3行の差の出方が使い分けの指針になると思っています。答えの形が決まっている作業、たとえば計算や定型的なコーディングであれば、最上位クラスとほとんど変わらない結果が返ってきます。逆に、前例のない問題を筋道立てて考えさせるような使い方では、はっきり差が出ます。
この後の実機テストでも、同じ傾向がそのまま出ました。仕様がはっきりしている2Dゲームやフラッピーバード風はきちんと形になり、空間の設計を考えさせる3Dやオセロの盤面表示では崩れています。ベンチマークの数字と実際に作らせた結果が、めずらしくきれいに一致した回でした。
ローカルで動かすならFlashを選んでください

「DeepSeekのモデルをローカルで動かしたい」という方は、ProではなくV4 Flashのほうを使ってください。こちらは軽量でありながら十分に賢く、現実的に手元で動かせます。
| 圧縮の度合い | V4 Pro | V4 Flash |
|---|---|---|
| 3bit | — | 103GB |
| 4bit | 832〜850GB | 155GB |
| 8bit | 873GB | 162GB |
4bit同士で比べても5倍以上の差があります。3bitなら103GBまで下がるので、メモリを多めに積んだマシンなら射程に入ってきます。
実際にFlashで作らせたものを見返すと、オセロのようなプログラムも3Dのゲームも、ワンショットの指示できちんと動くものが出てきました。YouTube風のデモサイトを作らせたときは、アニメーションを使ったグラフィックまで生成できています。

スライドのような資料を作らせても精度が良かったので、日頃から資料作成を行っていてAPIの消費を抑えたいという方には、Flashで十分に足りると思います。
正直な感想:Qwen3.8 27Bのほうが良かった
ここは率直にお伝えします。先日ローカルで動かしたQwen3.8 27Bと比べると、総合ではQwenのほうが良かったというのが個人的な感想です。DeepSeekのFlashもProも触ったうえでの比較になります。
もちろん用途によって変わりますし、好みの部分もあります。ただ「ローカルで動かす1本を選ぶなら」という条件で聞かれたら、いまはQwen3.8 27Bを勧めます。
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OpenRouter経由なら月10ドルで一通り触れます

ローカルが厳しいなら、API経由という選択肢があります。ここで実際に使っているのがOpenRouterです。
OpenRouterは、いろいろな会社のモデルをAPIキー1本でまとめて使えるサービスです。最新モデルが出るたびに各社のサブスクリプションへ個別に登録していくと、コストがかなり厳しくなります。1つ触ってみたいだけなのに月額が積み上がっていく、という状態は避けたいところです。
実際、先月グロック4.5をはじめとする各種の新モデルを一通り触って検証しましたが、それでも10ドルほどの課金で収まりました。とにかく最新モデルをキャッチアップしたい、実際に作らせて精度を確かめたい、という方にはかなりコスパが良い方法だと思います。
DeepSeek V4 Proの単価は、混雑する時間帯で100万トークンあたり入力1.32ドル・出力3.96ドルです。空いている時間帯はおよそ半額になります(2026年8月時点・公式参照)。1.6兆パラメータのモデルとしては十分にリーズナブルだと感じます。
使い方としては、APIキーを1つ発行してしまえば、あとはモデル名を差し替えるだけで各社のモデルを呼び分けられます。新しいモデルが出たときに「とりあえず1本作らせてみる」というのが、登録作業なしですぐできるわけです。この身軽さが、毎回サブスクリプションに入り直すのとの一番の違いだと感じています。
実際、今回この記事のために10本ほどのプログラムを作らせていますが、それでも1ドル弱で収まりました。1本あたり数十円という感覚です。触ってみたいモデルがあるけれど月額を払うほどではない、という段階ではかなり相性が良い方法だと思います。
時間帯で単価が倍変わるので、まとめて処理を回すときは空いている時間に寄せると実額が下がります。急がないバッチ処理ほど効果が出ます。
実際に作らせてみた|7本の結果

ここからは、いつもどおり実際にプログラムを作らせた結果です。ゲームから資料、日本語のテストまで7本を回しました。良かったものと厳しかったものがはっきり分かれたので、順番に見ていきます。
2Dアクションゲーム:かわいくて遊びやすい

まず2Dのアクションゲームです。これは良かったです。キャラクターがかわいいテイストで仕上がっていて、以前のモデルと比べても好印象でした。
ジャンプ力を考慮したステージ設計になっていて、ゲームとしてきちんと成立しています。少しすり抜けてしまう場面はありましたが、遊びやすさは十分です。難易度はかなり簡単な部類でした。ステージから落ちてもやり直せる作りになっています。
3Dゲーム:進めないステージができてしまう

3Dのゲームは厳しい結果でした。明らかに進めないステージが生成されてしまい、ゲーム性が成立していません。試しても越えられない場所がいくつかありました。
オセロ:角度が見にくい

オセロも厳しかったです。ゲームとしては動いているようなのですが、盤面がとても見にくい角度で作られていました。ユーザー体験がまったく考えられていない作りで、これは実用としては使いづらいところです。
ドラゴンクエスト風RPG:主人公が敵の欄に表示される

ドラゴンクエスト風のRPGも作らせました。もう少しでいろいろなゲームが作れそう、という手応えはあります。ただ、敵の項目に主人公が表示されてしまうなど、ゲームとしての体験を組み立てる部分は弱いのかなという印象でした。
資料作成:大まかなものなら十分
資料作成は用途によります。細かく作り込もうとすると、少しAI臭さが出る仕上がりになりました。ただ、大まかな資料を手早く作りたいという場面であれば、しっかり対応できるモデルです。
日本語テスト:ひっかけ問題を全問回避
日本語のテストは高評価でした。ひっかけ問題を1つも間違えず、きちんと回答しています。日本語の扱いは安定していると言っていいと思います。
フラッピーバード風:Gemini 3.7 Flashと見比べる

最後にフラッピーバード風のゲームです。こちらは問題なく作れました。同じお題をV4 Flashにも投げていますが、クオリティの違いははっきり出ています。
ついでにGemini 3.7 Flashで作ったものとも並べてみました。かわいいデザインという観点では、個人的にはGemini 3.7 Flashのほうが好みです。ここは完全に好みの世界なので、皆さんはどちらが好きか、よければコメントで教えていただけると嬉しいです。
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結局どういう人が使うモデルなのか
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ここまでを踏まえて、使う人のタイプ別に整理します。
| こういう方 | 選ぶもの | 理由 |
|---|---|---|
| 組織で重みを自社に置きたい | V4 Pro | MITライセンスが効くのはこの層だけ |
| 長い文書を安く処理したい | V4 Pro(API経由) | 100万トークン対応・空き時間なら半額 |
| 手元のマシンで動かしたい | V4 Flash | 3bitで103GB。Proは800GB台で非現実的 |
| 最新モデルを一通り触りたい | OpenRouter | APIキー1本・月10ドル程度で各社を横断 |
ローカルに落として使うという発想であれば、Proは選択肢から外れます。そこは切り分けて考えたほうが、時間もストレージも無駄になりません。
API経由で使うときの注意点
1つだけ、実際に使って気づいた注意点があります。このモデルは答えを書く前に長く考えるタイプなので、その思考のぶんにも料金がかかります。
そして厄介なのが、出力の上限を低めに設定していると、考えている途中で打ち切られて本文が1文字も返ってこないことがある点です。短い答えが返ってくるのではなく、空で終わります。実際、上限を控えめにしていたときに何度かこれが起きました。
対策は単純で、出力の上限を想定の3倍から5倍ほど多めに取っておくことです。上限に余裕があれば、そのぶん課金されるわけではなく、必要なぶんだけ使われます。API経由で使う方は、最初にここを大きめにしておくと無駄な試行を減らせます。
まとめ
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DeepSeek V4 Proは、性能は高いけれど個人の手元では動かせないモデルでした。要点を3つにまとめます。
- 4bitでも832GB。重みは公開されているが、個人のマシンに載る規模ではない
- 1回に使うのは490億でも、必要なメモリは減らない。減るのは計算量のほう
- ローカルならFlash、組織ならPro、触ってみたいならOpenRouterという住み分けになる
数学的な処理は最上位クラスと互角ですし、オープンウェイトとしては相当に上位のモデルです。ただ、それを個人で受け止められるかというと話が別だった、というのが今回の結論です。
ローカルで動かしたい方はV4 Flash、あるいはQwen3.8 27Bを試してみてください。用途に合わせて上手に切り分けていただければと思います。

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