この記事でわかること
- Qwen3.8-FlashとGLM-5.3-Flashの違い
- 3Dは得意で2Dが苦手という意外な傾向
- ローカルで動かすときに必要な容量
- Claude Codeに刺すときの落とし穴
「僕が実際に7つのお題を作らせたら、3Dゲームは今までのどのモデルより良い出来で、2Dは動かないものが出てきました」
2026年8月26日、アリババのQwen3.8-Flashが公開されました。同じ日にZ.aiのGLM-5.3-Flashも出ています。名前がどちらもFlashで、料金までほぼ同じ。ただ中身を開けてみると、設計思想はまるで逆でした。
こんにちは、ルーティンラボ(@rutinelabo)です。本記事では、この2つを同じ条件で使い比べた結果と、ローカルで動かすときの現実的な容量、そしてClaude Codeに組み込むときに気をつける設定まで、実際に触った内容をそのまままとめます。同じQwenの27Bをローカルで動かした記事とあわせて読むと、オープンウェイト版と商用版の違いが見えてくるはずです。
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Qwen3.8 27Bをローカルで動かす|LM Studioの選び方と3Dゲームが作れた実力
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結論|3Dの生成は別格、ただし2Dは苦手です

先に結論からお伝えします。Qwen3.8-Flashは3Dのグラフィックを伴う生成が非常に強いモデルでした。剣を持って戦う3Dアクションゲームを作らせたところ、これまで試したどのモデルよりもしっかり成立するものが出てきています。
一方で、平面の2Dアクションゲームはワンショットでうまくいきませんでした。生成そのものは終わるのですが、開いて動かすと成立していない。同じモデルでこれだけ差が出るのは正直意外でした。
料金はGLM-5.3-Flashとほぼ横並びなので、どちらを選ぶかは「何を作らせたいか」で決めるのが現実的です。3Dコンテンツやゲームを作るならQwen、という判断になります。
同じ日に出た2つのFlash|料金はほぼ横並び

まず状況を整理します。2026年8月26日に、アリババのQwen3.8-FlashとZ.aiのGLM-5.3-Flashが同じ日に公開されました。どちらも高速・低コストを打ち出したモデルで、名前にFlashが付いています。
API料金を並べると次のとおりです(2026年8月時点・QwenCloud公式およびZ.ai公式参照)。
| 項目 | Qwen3.8-Flash | GLM-5.3-Flash |
|---|---|---|
| 入力(100万トークン) | $0.15 | $0.15 |
| 出力(100万トークン) | $0.47 | $0.50 |
| キャッシュ入力 | $0.016 | $0.03 |
| コンテキスト | 1M | 1M |
| ライセンス(重み公開版) | qwen-community-1.0 | MIT |
入力は完全に同額で、出力だけQwenがわずかに安い。コンテキストウィンドウはどちらも100万トークンなので、長い資料を渡す使い方でも困りません。
ただしGLM-5.3-Flashは9月9日まで50%オフのキャンペーン中です。期間中は$0.075 / $0.25になるので、この時期だけを見ればGLMのほうが安くなります。ここは期限つきの話なので、使う時点で確認してください。
中身は正反対|動く部分は3倍違い、容量は逆転する

料金がほぼ同じなので、次は構造を見ていきます。ここが今回いちばん面白いところでした(2026年8月時点・Qwen公式モデルカード参照)。
| 項目 | Qwen3.8-Flash-Next | GLM-5.3-Flash |
|---|---|---|
| 総パラメータ | 125B | 320B |
| 1トークンで動く分 | 6B | 18B |
| N-gram埋め込み | 51B | — |
| BF16の実サイズ | 360.0GB | 328.4GB |
総パラメータはGLMのほうが2.6倍ほど大きいのに、ディスク上の実サイズはQwenのほうが32GB大きいという逆転が起きています。これはQwen側にN-gram埋め込みという51B分の層が乗っているためです。
そしてこの層が、Qwen3.8-Flashの設計の肝になっています。N-gram埋め込みはGPUの専用メモリではなく、通常のシステムメモリ側で扱われる仕組みです。つまりGPUのVRAMを圧迫しない。VRAMが少ない環境でも動かせる余地が生まれます。
1トークンを作るときに実際に動くのは6Bだけ、というのも効いています。GLMは18Bが毎回動くので、単純計算で3倍の差です。総量が大きくても、毎回フルに動いているわけではない。この点は両者に共通する仕組みですが、Qwenのほうが徹底しています。
Flash と Flash-Next は別物です

調べていて混乱しやすいのがここです。今回のリリースには名前の近いモデルが2つあります。
2つの違い
- Qwen3.8-Flash:QwenCloud経由で使う商用版。既定で100万トークン、公式のツール機能つき
- Qwen3.8-Flash-Next:重みが公開されたオープンウェイト版。既定は262,144トークン
ダウンロードして手元で動かせるのはFlash-Nextのほうです。商用版のQwen3.8-Flashの重みは公開されていません。記事によっては両者を混ぜて書いているものもあるので、探すときは名前を正確に見てください。
ライセンスも注意が必要です。Flash-Nextはqwen-community-1.0という独自のコミュニティライセンスで、Apache 2.0ではありません。海外のニュースサイトでApache 2.0と書かれているものを見かけましたが、公式のモデルカード冒頭を見れば独自ライセンスだと分かります。GLM側はMITなので、商用で使うなら条件の差は押さえておいたほうがいいです。
ローカルで動かす|Mac版は73GBでした

オープンウェイト版が出ているので、手元で動かす選択肢もあります。LM Studioを開いてみると、Qwen3.8-Flash-NextのMac向けモデルが並んでいました。
表示されていた容量は73GB。これはメモリに載せて動かす前提の数字なので、正直に言えば普通のノートPCでは厳しいラインです。
ローカル実行の目安
- メモリ128GB級のマシンなら現実的に動かせる
- M5チップ搭載のMac Studioなど、ユニファイドメモリが大きい機種が向いている
- ただし本体価格は200万円規模になるので、コスト面は冷静に判断したい
僕自身は普段、Qwen3.8-27Bの8bit版をローカルに落として使っています。こちらは容量がぐっと下がるので扱いやすく、実用の入口としてはこちらのほうが現実的です。ローカル実行の手順は27Bの記事で詳しく書いています。
どれくらいの速さで動くのか
速度は動かす環境で桁が変わります。大規模なサーバー環境ではGPU1枚あたり毎秒16,000トークンという数字が公式の技術ブログで示されていますが、これは業務用の大型機材での話です(2026年8月時点・NVIDIA技術ブログ参照)。
個人の環境だと現実的な数字はぐっと下がります。メモリ128GBのノートPCで実際の作業に使った例では、毎秒9〜10トークン程度。大容量のGPUを積んだデスクトップなら毎秒80トークン前後という報告もあります。文章がゆっくり出てくる感覚なので、待てる作業向きです。
量子化して容量を落とす方法もあります。4bit相当まで圧縮したものでも111GB前後あるので、いずれにしても大容量メモリは避けられません。1bit台まで落とせば72GB前後まで下がりますが、そこまで削ると品質への影響も出てきます。
コンテキストは既定で262,144トークン、拡張すれば100万トークンまで対応します。長い資料をまとめて読ませたい用途でも足りるはずです。
生成AI周りはアップデートが激しいので、高額なマシンを買った直後に状況が変わることも珍しくありません。ローカルで動かす体験自体には価値がありますが、まずは軽めのモデルで感触をつかんでからでも遅くないと思います。
Claude Codeに刺す|公式手順にひとつ落とし穴があります

QwenはAnthropic互換のAPIを提供しているので、Claude Codeにそのまま組み込めます。中国系のモデルをまとめて使えるサービスもあり、Qwen・Kimi K3・GLM・DeepSeekあたりをサブスクの範囲で切り替えながら使う、という運用が可能です。
ここでひとつ気をつけたい点があります。公式ドキュメントの設定例は、次のように既定モデルの指定そのものを書き換える方式になっています。
{
"env": {
"ANTHROPIC_BASE_URL": "https://dashscope-intl.aliyuncs.com/apps/anthropic",
"ANTHROPIC_AUTH_TOKEN": "YOUR_API_KEY",
"ANTHROPIC_MODEL": "qwen3.8-flash",
"ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL": "qwen3.8-flash",
"ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL": "qwen3.8-flash"
}
}
この形で設定ファイルに書き込むと、画面に表示されるモデル名と実際に動くモデルが食い違います。Opusを選んだつもりで別のモデルが動いていた、という状態になり、しかも気づきにくい。僕は以前これで取り違えたことがあり、それ以来この書き方は避けています。
代わりにおすすめしたいのが、起動するときだけ環境変数で渡す方法です。
ANTHROPIC_BASE_URL="https://dashscope-intl.aliyuncs.com/apps/anthropic" \
ANTHROPIC_AUTH_TOKEN="$QWEN_API_KEY" \
ANTHROPIC_MODEL="qwen3.8-flash" \
claude
この形なら設定ファイルを一文字も変えずに済みますし、ターミナルを閉じれば元通りです。戻し忘れも起きません。接続先のURLは契約プランごとに違うので、そこだけは公式の案内を確認してください。
公式のベンチマークは横並びに見てはいけません

実際に触る前に、公表されている数値も確認しておきます。Qwenの公式モデルカードには、主要なベンチマークのスコアが載っています(2026年8月時点・公式モデルカード参照)。
| ベンチマーク | Qwen3.8-Flash-Next | Claude Opus 4.6 Max |
|---|---|---|
| SWE-bench Pro(実務的なコード修正) | 62.5 | 53.4 |
| SWE-bench Multilingual | 81.0 | 77.5 |
| IFBench(指示にどれだけ従うか) | 81.3 | 62.5 |
| LiveCodeBench v6(競技系コード) | 91.9 | 88.8 |
| HLE(難問への対応) | 35.9 | 40.0 |
数字だけ見ると強そうに見えますが、ここにひとつ注意点があります。Qwenが比較相手にしているのはClaude Opus 4.6 Maxで、GLM側が比較相手にしているのはOpus 4.8です。つまり両社は別の相手と比べている。
この状態で公表値をそのまま並べても、どちらが上とは言えません。ネット上の比較記事でここを混ぜているものを何度か見かけましたが、土俵が違うので優劣は決まらない、というのが正しい読み方です。だからこそ、同じお題を自分で投げて確かめる意味があります。
ちなみに難問を扱うHLEでは、QwenはOpus 4.6に負けています。得意な領域と苦手な領域がはっきりしているモデルだ、という点は数字にも表れています。
もうひとつ触れておきたいのが訓練コストです。Qwen3.8-Flash-Nextは、前世代のQwen3.7-Plusと比べて約9分の1のコストで訓練されたと公式が説明しています。料金の安さは、この効率化がそのまま反映されたものだと考えられます。
7つのお題で実際に作らせました

ここからが本題です。いつも使っている検証用の比較プラットフォームで、Qwen3.8-Flashに同じお題を投げていきました。ワンショット、つまり追加の指示や修正なしで一発生成という条件です。
結果を先に表でまとめます。
| お題 | 結果 | 所感 |
|---|---|---|
| 2Dアクションゲーム | ✗ 動かず | 生成は終わるが成立しない |
| 3Dアスレチック | ✗ 生成できず | 形にならなかった |
| ブロック崩し系3D | ◎ 成立 | 遊べるクオリティ |
| 3D剣戟アクション | ◎ 最高評価 | 今までのどのモデルより良い |
| オセロ | ✗ 成立せず | ゲームとして機能しない |
| シューティング | ○ 十分 | ゲームオーバー演出まで実装 |
| Webサイト系 | ◎ 高品質 | プレイヤー機能まで動く |
3Dゲームは想像以上でした

いちばん驚いたのが3Dの剣戟アクションです。剣を持って相手を倒すゲームなのですが、これまで検証してきたどのモデルよりもきちんと作ってくれました。遊びごたえもあって、このお題単体で見ればトップクラスの出来です。
ブロック崩し系の3Dゲームも、ゲームとして成り立つレベルで完成していました。実際に遊んでみても違和感がありません。3Dコンテンツを作るときのQwenは、毎回クオリティの高いものを出してくる印象があります。
2Dと一部のロジックは弱い

逆に2Dのアクションゲームは、生成はされるものの動きませんでした。理由ははっきり分かりませんが、平面の生成は得意ではなさそうです。オセロも同様で、ゲームとして機能する状態にはなりませんでした。
ここで大事なのは、生成が終わったことと、動くことは別だという点です。ファイルは出てくるので一見成功したように見えますが、開いてみないと分かりません。モデルを評価するときは必ず動かして確かめる、というのが今回あらためて分かったことでした。
Webサイト系は安定して高品質

ゲーム以外のお題も試しています。当サイトのページを作らせたときは、エラーなく素直に作ってくれました。特筆すべき点はないものの、逆に言えば安定しているということです。
動画サイト風のデモページはかなりクオリティが高く、プレイヤーの機能やコメント欄、評価ボタンまで動く状態で出てきました。3Dほどの派手さはありませんが、実務で使う分にはこちらの安定感のほうが役立つ場面も多いはずです。
結局どちらを選ぶか
ここまでを踏まえて、選び方をまとめます。
使い分けの目安
- Qwen3.8-Flash:3Dコンテンツやゲームを作りたい。大きめのプログラムを一気に書かせたい
- GLM-5.3-Flash:ベンチマーク上の賢さで選びたい。商用でライセンスを単純にしたい
賢さの指標ではGLMがQwenを上回っているベンチマークもあります。ただ実際に触った感触では、3Dの環境やゲームを作らせたときのQwenは頭ひとつ抜けていました。ベンチマークの総合点だけでは見えない差だと思います。
料金はほぼ同じで、しかもGLMは9月9日まで半額です。コスパで選ぶなら期間中はGLM、作るものが3D寄りならQwen、という整理になります。
比較用のプラットフォームを持っておくと早いです

最後に、今回のような検証をするうえで役に立っている仕組みを紹介します。僕は新しいモデルが出るたびに同じお題を投げて比べられる検証サイトをClaude Codeで自作して使っています。
生成AIのアップデートは本当に激しく、毎月のように新しいモデルが出ます。そのたびに「今回のモデルは何が得意なのか」を手探りで確かめるのは大変です。同じお題を固定しておけば、新しいモデルが出た瞬間に投げるだけで、得意・不得意がすぐ分かります。
今回も、3Dが強くて2Dが弱いという傾向はこの仕組みがあったから短時間で見えました。ゲームだけでなく、文章生成の項目も用意しておくと、ブログや発信で使うときの判断材料になります。作るのは少し手間ですが、一度作れば長く使えるのでおすすめです。
まとめ
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- Qwen3.8-FlashとGLM-5.3-Flashは2026年8月26日に同日公開。入力$0.15は同額で、出力はQwenが$0.47とわずかに安い
- 中身は正反対。Qwenは125B中6Bだけが動き、51BのN-gram埋め込みがシステムメモリ側で効く設計
- 総パラメータはGLMが大きいのに、実サイズはQwenが360GBで32GB上回るという逆転がある
- 重みが公開されたのはFlash-Nextのほう。ライセンスはqwen-community-1.0でApache 2.0ではない
- 7つのお題で試した結果、3Dゲームは過去最高クラス、2Dとオセロは動かなかった
- Claude Codeに刺すときは設定ファイルを書き換えず、起動時に環境変数で渡すほうが安全
同じ日に出た2つのモデルですが、触ってみると性格がはっきり分かれていました。ベンチマークの数字だけを見て決めるのではなく、自分が作りたいものを実際に投げてみるのがいちばん確実です。どちらも料金は抑えられているので、両方試してから決めても損はありません。
3Dのコンテンツやゲームを作ってみたい方は、ぜひQwen3.8-Flashを試してみてください。
