この記事でわかること
- 謎のAI「ox-alpha」の正体
- GLM-5.3とGLM-5.3-Flashの違い
- 実際に作らせたゲームの出来
- 自分のMacで動かすのに必要な容量

プロンプト配布中
LINE公式アカウントを友達追加していただければ、本記事やYouTubeで使用した使用したプロンプトを配布いたします。メンバーシップ登録で優先サポートも実施中です。
「僕が実際に同じお題を投げたら、2Dアクションゲームで主人公が上のステージにちゃんと乗れました」
前に同じお題を投げたモデルでは、ジャンプしても上の足場に乗れずにすり抜けていました。同じプロンプトで作らせたはずなのに、遊べるかどうかが分かれます。その差を出したのが、今回紹介するGLM-5.3-Flashです。
こんにちは、ルーティンラボ(@rutinelabo)です。今回は、8月20日ごろから提供元を伏せたまま公開され「世界で一番使われている」とまで言われた謎のモデルox-alphaの正体と、その中身であるGLM-5.3-Flashが実際どこまで作れるのかを、生成物の画面つきで解説します。
ox-alphaの正体はGLM-5.3-Flashだった

2026年8月20日ごろ、提供元の表示がないまま無料で使えるモデルが各プラットフォームに現れました。それがox-alphaです。コンテキストは100万トークン、精度も高く、当時話題だったKimi K3と比較されるレベルでした。
正体が明かされたのは8月26日。中国のZ.aiが「ox-alphaはGLM-5.3-Flashだった」と公表し、同日に重みも公開されました。Hugging Faceのリポジトリを実際に見ると、MITライセンス・328.3GB・62分割で公開されています(2026年8月30日時点・公式参照)。
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 8月20日ごろ | 提供元の表示なしでox-alphaが出現(無料・100万トークン) |
| 8月23日ごろ | 正体を当てる議論が世界中で起きる |
| 8月26日 | 重みを公開。同日Z.aiのGLM-5.3-Flashだと公表 |
| 8月29日 0時22分 | 本体GLM-5.3の重みも公開(日本時間) |
なぜ名前を隠したのか。Z.aiは公式ブログで、公開前に実際の使われ方からフィードバックを集めるためだったと説明しています。あわせて、この期間のアクセスをすべて中国製AIチップで処理したとも発表しています。チップ性能の話は開発元の自己申告であり、第三者による検証はされていません。ここは差し引いて読む部分です。
GLM-5.3とGLM-5.3-Flashは名前が似ているだけの別物
ここを間違えると、この後の話が全部ズレます。Flashは本体の小型版ではありません。土台から作り直された別のモデルです。
| 項目 | GLM-5.3(本体) | GLM-5.3-Flash |
|---|---|---|
| 土台 | 前世代と同じものを流用 | 新しく作り直した別の土台 |
| 規模 | 7,440億級(公表値に7,430〜7,530億の幅あり) | 3200億・実際に動くのは180億 |
| 画像を見る力 | なし(テキストのみ) | あり |
| 重みの公開 | 公開済み(独自ライセンス) | 公開済み(MIT) |
| API価格(100万トークン) | 入力1.4ドル / 出力4.4ドル | 入力0.15ドル / 出力0.50ドル |
出典:docs.z.ai 価格表/Hugging Face API 実測(2026年8月時点・公式参照)
価格差はおよそ9分の1です。しかもFlashは2026年9月9日まで半額キャンペーン中で、入力0.075ドル・出力0.25ドルまで下がります。
ライセンスにも差があります。MITなのはFlashだけで、本体GLM-5.3は独自の「GLM-5.3 License」です。利用・改変・再配布・商用のいずれも自由ですが、言語モデルを他社へ提供する事業をしていて12か月の売上が100億ドルを超える場合にだけZ.AIの審査が必要という条項が付いています。個人と多くの企業にとっては実質的に制限はありませんが、2つまとめて「MIT」と説明するのは誤りです。
Flashが速い理由は設計にある
Flashは、疎アテンションと線形アテンションを組み合わせたハイブリッド構造をGLMシリーズで初めて採用しました。層の数は45層で、GLM-4.5系の92層からほぼ半分です。学習データは30兆トークン規模で、文章と画像を混ぜたものが使われています。
この設計で、本体5.3と比べてアテンション計算は約3分の1、KVキャッシュは約4分の1に削減されています(Z.ai公式ブログ・2026年8月時点)。安いだけの軽量版ではなく、計算量そのものを落とす作りになっているのがポイントです。
どれくらい賢いのか|得意と苦手がはっきり分かれる

公式のベンチマーク表を見ると、得意分野と苦手分野がきれいに分かれます。
| 評価項目 | GLM-5.3-Flash | Claude Opus 4.8 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 実務作業(GDPval-AA v2) | 1773 | 1582 | 大きく勝ち |
| 書類の読み取り(OfficeQA Pro) | 62.4 | 48.9 | 大きく勝ち |
| 道具を使う力(Toolathlon) | 78.4 | 76.2 | 勝ち |
| 端末操作(Terminal Bench 2.1) | 84.3 | 85.0 | やや負け |
| 業務自動化(AutomationBench) | 48.8 | 41.0 | Geminiには負け(52.3) |
出典:Z.ai公式ベンチマーク表(2026年8月時点・公式参照)

実務作業と書類の読み取りでは上位モデルを超えています。一方で、業務の自動化や端末操作ではGPT-5.6系やGemini 3.7 Flashに劣ります。映像の理解も明確に負けている領域です。
この形から、向いている使い方が見えてきます。1回で完璧な成果物を作らせるのではなく、何度もループを回して改善・修正させる使い方です。1トークンあたりが安いので、繰り返し投げても費用が膨らみません。
画面を見る力が効いてくる場面

Flashはマルチモーダルなので、画像や画面を見ることができます。これが実際に効くのは、開発のループを回すときです。
コードを書いてアプリやWebサイトを作り、実行して画面を表示する。その画面を自分の目で見て、レイアウトの崩れやエラーを発見し、直してもう一度見る。この一連のループをモデル自身が回せます。本体GLM-5.3はテキストのみなので、原理的にこのループは回せません。
実際に作らせてみた|ゲームとWebページの出来
このチャンネルでは、新しいモデルが出るたびに同じお題を投げて比べるようにしています。プロンプトを一字一句変えず、追加の指示も出さず、一発勝負で作らせる形です。モデルごとに得意なお題を選んでしまうと、結局どれが良いのか分からなくなるからです。
今回もその検証コースから同じお題を投げました。ここから先は、実際に出てきた画面です。
step
12Dアクションゲーム(マリオ風)

敵をしっかり踏めて、踏んだ瞬間のアニメーションも入っています。僕が一番感心したのは、主人公が上のステージまでちゃんと登れたことです。以前Gemini 3.7 Flashに同じお題を投げたときは、ジャンプしても上の足場に乗れませんでした。遊ぶ人の体験まで考えた設計になっています。ただし、中を移動するバーには乗れないという不具合は残っていました。
step
2シューティングゲーム

ここが一番出来が良かったです。敵を倒した瞬間のアニメーション、ボスの登場、アイテムが磁石のように寄ってくる挙動まで入っていて、普通に遊べるレベルになっています。つい遊んでしまうくらいの完成度でした。
step
33Dの剣術ゲーム・塊魂風3D

3Dは荒さが目立ちます。剣術ゲームはゲーム性としてまだ粗い印象でした。一方で塊魂のようなゲームは、一見難しそうに見えるのにきちんと動くものが出てきます。
step
4Webページ制作・惑星シミュレーター

Webページは正直なところ普通でした。1画面のLPとグラデーションの使い方にAIらしさが残っています。惑星のシミュレーターもまずまずの出来で、飛び抜けてはいません。
ちなみに本体GLM-5.3で同じ2Dアクションを作らせると、ジャンプしてから着地するまでに間がある「羽マリオ」のような挙動が最初から入っていました。良し悪しは別として、こういう違いが出るのは面白いところです。
自分のマシンで動くのか|必要な容量

オープンウェイトなので、手元で動かすこともできます。必要な容量は次のとおりです。
| 形式 | 容量 | 備考 |
|---|---|---|
| 公式のそのままの形 | 328.3GB | Hugging Face実測 |
| 4ビットに圧縮した版(MLX) | 177.6GB | 有志の量子化・ここが現実的な下限 |
| GGUF Q2_K | 約115GB | 有志の量子化 |
出典:Hugging Face API 実測(2026年8月時点)。4bit版・GGUF版は公式ではなく有志による量子化です。
目安としては、メモリ128GB以上のMacが必要になります。少し前に検証したDeepSeek V4 Proは4ビットでも約830GBあり、高性能GPUを8枚積んでも入りませんでした。それと比べると桁が1つ下がっています。
とはいえ普通のパソコンで動くという意味ではありません。100万円級の機材が要ります。ただ、Mac Studioのデフォルトの選択肢にメモリ256GBが出てくるようになったのは事実で、扱えるユーザーは着実に増えています。
Claude Codeから使うといくらか

手元のマシンで動かせない場合は、APIを契約して使う形になります。Claude Codeから呼び出せるので、普段の開発の一部だけ軽いモデルに任せる使い方ができます。
| プラン | 月額 |
|---|---|
| Lite | 18ドル |
| Pro | 80ドル |
| Max | 168ドル |
出典:docs.z.ai GLM Coding Plan(2026年8月時点・公式参照)
従量課金で使う場合、100万トークンあたり入力0.15ドル・出力0.50ドルです。日本円だと入力が20円台、出力が70円台のイメージになります。同じ作業を上位モデルに投げると9倍かかる計算なので、試行錯誤の回数を気にしなくてよくなるのが実際のところです。
ここで一番実用的な情報があります。クレジットの消費量は時間帯で変わります。混雑帯は月曜から金曜の日本時間15時から19時で、この時間を外すと消費が半分になります。夕方の4時間を避けるだけで、同じプランで倍使える計算です。
設定時にひとつ注意があります。公式のインストーラは~/.claude/settings.jsonを書き換えるので、普段のClaude Code環境が壊れることがあります。そのターミナルだけに環境変数を渡して起動する形にすれば、設定ファイルに触らずに済みます。
もうひとつ、GLM-5.3系は思考モードをオフにできません。既定で常にオンです。古い設定で思考の無効化を送っているとリクエスト自体が落ちるので、そこだけ確認してください。
まとめ|誰が使うべきか

GLM-5.3-Flashは、万能で最強のモデルではありません。事務仕事とエージェント運用に寄せて強いモデルです。
- ox-alphaの正体はGLM-5.3-Flash。8月26日に重みとあわせて公表された
- GLM-5.3とFlashは土台から違う別物。MITなのはFlashだけ
- 実務作業と書類読み取りは上位モデル超え。端末操作と映像理解は負ける
- 価格はおよそ9分の1。ループを回して改善させる使い方に向く
- ローカルは4ビットで177.6GB。メモリ128GB級のMacが必要
- Claude Codeからは月18ドルから。日本時間15〜19時を避けると消費が半分
使い分けの型としては、設計や難しい判断は上位モデルに任せ、作って直してまた作る、という繰り返しの部分をFlashに振るのが噛み合います。画面を見て自分で直せるので、Webページやアプリの見た目を整える作業は特に相性が良いです。
向いているのは、Claude Codeを毎日回していて従量課金が気になっている個人開発者です。画面を見せて直させたい作業や、書類を読ませる事務作業にも効きます。逆に、最高精度が必要な本番のコードや、映像の理解が主目的なら別のモデルを選んだほうがいいです。
安いモデルだからこそ、遠慮なく何度も投げられます。プロジェクトごとにどのモデルを使うかを決めておくと、費用も結果も安定します。ぜひ一度ご自身の環境で試してみてください。

プロンプト配布中
LINE公式アカウントを友達追加していただければ、本記事やYouTubeで使用した使用したプロンプトを配布いたします。メンバーシップ登録で優先サポートも実施中です。
