この記事でわかること
- Gemini 3.8 Flashで実際に何が作れるのか
- 公式ベンチマークの正しい読み方
- 動画の分析がClaudeより強い理由
- 年内に試したほうがいい料金の事情
「僕が実際に7つのお題を作らせたら、マインクラフトのワールドまで作れるようになっていました」
2026年9月2日、GoogleからGemini 3.8 Flashが公開されました。またFlashか、と思った方も多いかもしれません。3.6、3.7と来て、6週間で3本目になります。ただ今回のモデルは、公式が出している比較表の読み方さえ分かれば、かなり使いどころのはっきりしたモデルでした。
こんにちは、ルーティンラボ(@rutinelabo)です。本記事では、公式ベンチマークで何が起きているのかを整理したうえで、実際に7つのお題を作らせた結果と、Opus 5との現実的な使い分けまでまとめます。前世代のGemini 3.7 Flashを検証した記事と読み比べると、3週間でどこが動いたのかが見えてきます。
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Gemini 3.7 Flashを実機検証|3週間で何が伸びたのかベンチと実物で確かめた
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結論|大規模開発は厳しい、でも動画分析とチャットは強い

先に結論をお伝えします。Gemini 3.8 Flashは、大規模な開発を任せるモデルではありません。3Dゲームのように細かい表現とロジックの両方が要るものを作らせると、まだエラーが出ます。そこはClaude Opus 5のような上位モデルの領域です。
一方で、動画の分析、細かい処理、チャットのやり取りといった用途では、かなり強いモデルでした。特に長い動画を理解させる性能は、公式の比較表の中でClaudeを上回っています。
そして料金が安い。入力が100万トークンあたり0.75ドル、出力が3.75ドルで、Opus 5と比べると約6.7分の1です。Flash級のモデルはいくつもありますが、性能と価格のバランスでは今いちばん扱いやすいところに来たと感じました。
6週間で3本目|9月2日に2つ公開された

2026年9月2日に公開されたのは2つです。ひとつが今回扱うGemini 3.8 Flash、もうひとつがセキュリティ用途に振ったGemini 3.8 Flash Cyberになります。
ただしCyberのほうは、Fairwindという限定プログラム経由でしか使えません。一般の開発者が触れるのは3.8 Flashだけなので、この記事では3.8 Flashを扱います。
基本的な仕様は次のとおりです(2026年9月時点・Google公式ドキュメント参照)。
| 項目 | Gemini 3.8 Flash |
|---|---|
| モデルID | gemini-3.8-flash |
| 入力コンテキスト | 1,048,576トークン |
| 出力上限 | 65,536トークン |
| 入力できるもの | テキスト / 画像 / 動画 / 音声 / PDF |
| 思考レベル | low / medium / high(既定はmedium) |
| 使えないもの | 音声生成 / 画像生成 / Live API / 思考レベルminimal |
入力に動画が入っているところが、あとで効いてきます。100万トークンのコンテキストで動画を直接読ませられるモデルは、まだそれほど多くありません。
料金|Opus 5の約6.7分の1、ただし年明けに倍

今回いちばん分かりやすい強みが料金です。主要モデルと並べると差がはっきりします(2026年9月時点・Google公式価格表および公式比較表参照)。
| モデル | 入力(100万トークン) | 出力(100万トークン) |
|---|---|---|
| Gemini 3.8 Flash | $0.75 | $3.75 |
| Gemini 3.7 Flash | $0.75 | $3.75 |
| Claude Opus 5 | $5.00 | $25.00 |
| Claude Sonnet 5 | $2.00 | $10.00 |
Opus 5と比べると入力も出力も約6.7分の1です。前世代の3.7 Flashとは同額なので、値段を理由に乗り換えを迷う必要はありません。
ただしここに期限があります。この価格は2026年12月31日までの導入価格で、2027年1月1日から入力1.50ドル、出力7.50ドルへ倍になることが公式に明記されています。年をまたぐ運用を見積もるなら、この前提を入れておく必要があります。
ポイント
安く試したいなら2026年内です。3.6・3.7・3.8 Flashのすべてが同じ日に倍額へ移行します。
公式ベンチマークの読み方|同じ表の中で結論が逆転する

公式が出している比較表は16項目あり、Gemini 3.8 Flashと3.7 Flash、Claude Opus 5やSonnet 5、GPT-5.6系が横並びで載っています。Flash級のモデルなのに上位モデルと同じ表で比べているあたり、かなり強気です。
実際、16項目のうち7項目で全モデル中1位を取っています。金融エージェント、法務エージェント、複雑な図表の読解、長い動画の理解、専門家レベルの推論、生物学の難問、実務的な研究タスク。いずれも実務に近い領域です。
ただし、この表は読み方に注意が必要でした。ターミナル操作をさせるTerminal-benchという項目が2つ載っているのですが、版が違うと結論がひっくり返ります。

旧版の2.1では3.8 Flashが89.4%で、Opus 5の89.1%をわずかに上回ります。ところが新版の4.0になると、3.8 Flashは19.1%、Opus 5は51.8%です。約2.7倍の差で負けています。
2.1のほうは比較的やさしいターミナル処理、4.0は難しい処理まで含む汎用的なエージェント能力を測るものです。つまり簡単な作業なら並ぶけれど、難しいコーディングやエージェント処理になると差が開く、ということになります。
パソコン操作を評価するOSWorld 2.0でも59.0%対75.4%で負けています。ここは正直に受け止めておくところです。
| ベンチマーク | Gemini 3.8 Flash | Claude Opus 5 | 結果 |
|---|---|---|---|
| Terminal-bench 2.1(旧版) | 89.4% | 89.1% | わずかに上回る |
| Terminal-bench 4.0(新版) | 19.1% | 51.8% | 大きく負ける |
| OSWorld 2.0(PC操作) | 59.0% | 75.4% | 負ける |
| LVBench(長い動画の理解) | 87.8% | 75.4% | 上回る |
面白いのは、Googleがこの不利な数字を同じ表に載せているところです。都合の良い項目だけを並べていない分、どこが得意でどこが苦手かを判断しやすくなっています。
動画の理解はClaudeより強い|ブログ制作で効いてくる

今回いちばん個人的に手応えがあったのが、LVBenchという項目です。長い動画をどれだけ理解できるかを測るもので、ここは87.8%対75.4%でClaudeを上回っています。
数字の背景も公開されていて、Geminiは1024フレーム、Claudeは300フレームで評価されています(Claude側のAPI制限が理由と記載)。3倍以上のフレーム数で動画を見られる、ということになります。
これが実務でどう効くかというと、たとえば僕の場合はブログ制作です。YouTube用に収録した動画をそのまま読ませて、記事のどの位置にどの場面のスクリーンショットを差し込むかを判断させています。動画の中身を細かく追えるほど、記事の説明と画面が噛み合いやすくなります。
こういう使い方に向いています
収録動画から資料や記事を作る、長い会議動画を要約する、動画の内容を検索できるようにする。こうした動画を扱う処理は、重そうに見えて実は安いモデルで足ります。
7つのお題を作らせた|マイクラは作れる、3Dゲームは厳しい

ここからは実際に触った話です。いつも使っているAI検証ツールで、3.8 Flashと前世代の3.7 Flashに同じお題を投げて、生成物を並べて比べました。
2Dアクションゲーム|動くけれど落ちない

まず2Dの横スクロールアクションです。3.8 Flashのほうは、ステージも組まれていてゲームとしてはしっかり表現されていました。以前のモデルと比べればかなり良くなっています。
ただし遊んでいるうちに、穴に落ちないというエラーが見つかりました。落下判定が成立していないので、ゲームとしては成り立っていません。3.7 Flashのほうも、上の段に登れないなどゲーム性の部分がクリアできていませんでした。
マインクラフト風のワールド|ここは素直にすごい

驚いたのがこちらです。マインクラフトのようなボクセルのワールドを作らせたところ、ちゃんと歩き回れるワールドが出てきました。以前のFlash系のモデルでは当然できなかった作業です。
地形が生成されて、その中を移動できる。この規模のものがFlash級で出てくるようになったのは、正直なところ馬鹿にできないと感じさせられた部分でした。
3Dゲーム|細かい表現が要るものはまだ無理

一方で、3Dで細かい挙動が求められるものは厳しい結果でした。転がして物を巻き込んでいくタイプの3Dアクションは、ぎりぎり遊べるかどうかというところで、画面の操作もおかしくなります。
対戦アクションに至っては、動かしている途中でエラーが起きて止まりました。3Dの表現とゲームとしてのクオリティを両方求めると、Flash級ではまだ届いていません。
ウェブサイトと鬼ごっこ|実用ラインに乗ってきた

逆に良かったのがウェブサイトの生成です。この用途であれば、Flashのモデルでも十分に活躍してくれるクオリティになっていました。

最後に作らせた鬼ごっこゲームも、画面はやや暗いものの遊べるレベルのものが出てきました。以前GPT-6 Astraで同じお題を試した記事と比べると差はありますが、許容できる生成物です。
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GPT-6 Astraを実機検証|11課題を投げて分かった実力とClaudeとの差
続きを見る
他のモデルと比べてどうか|Fable 5.1と近い水準まで来た

生成物を並べて比べたときに感じたのは、Claude Fable 5.1で作ったものと要素として近いということです。あまりにも差があるかというと、そうでもありませんでした。
もちろんGPT-6 Astraのような最新の上位モデルと比べれば差は歴然です。ただ、Flash級のモデルの中では、コストと精度のバランスが今いちばん良いところに来たという印象を持ちました。
安価なモデルは他にもあります。Qwen3.8-FlashやGLM-5.3-Flashなど中国発のモデルも性能は良好です。そのうえで使いやすさまで含めると、Gemini 3.8 Flashを選ぶ理由は十分にあります。
Gemini CLIはすでに終了|Antigravity CLIへ移行済み

ターミナルからGeminiを使いたい方に、ひとつ注意点があります。以前はターミナルでGemini CLIを使えましたが、個人向けの提供は2026年6月18日に終了しています(2026年5月19日のGoogle I/Oで発表・Google公式ブログ参照)。
対象はGoogle AI ProとUltra、それに個人向けの無料枠です。後継はAntigravity CLIで、Agent Skills・Hooks・Subagents・Extensionsといった主要な機能は引き継がれています。ただし当初から完全な機能互換ではないと公式に明記されています。
法人向けのGemini Code Assist StandardまたはEnterpriseライセンスを持っている場合は、従来どおりGemini CLIを使い続けられます。個人でCLIからハーネスを組みたい方は、Antigravity CLIに有料のGoogleアカウントを紐づける形になります。こちらからGemini 3.8 Flashも利用できます。
どんな人に向いているか
ここまでの内容を、用途別に整理します。
- 動画を扱う処理…収録動画からの資料作成や要約。LVBenchの結果どおり強い
- チャットや細かい処理…普段のやり取りやアプリへの組み込み。トークン消費を抑えられる
- ウェブサイトの生成…実用ラインに乗ってきた
- 大規模な開発や難しいエージェント処理…Opus 5のような上位モデルの領域
Geminiはチャットや音声のモデルも優秀なので、普段のやり取りやアプリに組み込む用途であれば、コストを抑えながらAI機能を活用できます。
まとめ

Gemini 3.8 Flashは、Flash級のモデルとしてはっきり使いどころのあるモデルでした。大規模な開発は上位モデルに任せつつ、動画の分析や細かい処理をコスパよく回す。そういう分担を組むなら、今いちばん扱いやすい選択肢だと思います。
- 2026年9月2日公開。6週間で3本目のFlash
- 入力0.75ドル・出力3.75ドルでOpus 5の約6.7分の1
- 公式16項目のうち7項目で全モデル中1位
- ただしTerminal-bench 4.0は19.1%対51.8%で大きく負ける
- 長い動画の理解はClaudeを上回る(1024フレーム対300フレーム)
- 2027年1月1日から単価が倍になる
気になった方は、価格が変わる2026年内に一度試してみてください。動画を扱う処理を持っている方であれば、想像しているより安く回せるはずです。
