この記事でわかること
- Grok 4.6が前世代から本当に変わった点
- 公式ベンチマークで勝っている領域と負けている領域
- 同じ課題を作らせたときの生成速度の実測
- 500Kの文脈長に潜む料金の落とし穴
まず2分で全体像をつかみたい方はこちら
この記事の要点だけを2分にまとめた解説スライドです。詳しい中身はこの下の本文で解説しています。
「同じ課題を9本投げたら、合計で1.48倍の速さで返ってきました」
新しいモデルが出るたびに歴代最高という言葉が並びますが、知りたいのはそこではありません。自分の仕事で乗り換える価値があるのかどうか、それだけです。今回は公式の数字を読み解いたうえで、同じ課題を同じ条件で作らせて手元で測りました。
こんにちは、ルーティンラボ(@rutinelabo)です。SpaceXAIが2026年8月12日にGrok 4.6を公開しました。前世代のGrok 4.5を検証した回からまだ1か月弱ですが、価格は据え置きのまま中身が動いています。公式の発表を確認したあと、検証ダッシュボードで9つの課題を作らせて比べました。
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Grok 4.5を実機検証|料金・使い方とOpus 4.8との差を解説
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Grok 4.6は前世代から何が変わったのか

まず押さえておきたいのは、価格が動いていないことです。入力が100万トークンあたり2ドル、出力が6ドル。これはGrok 4.5とまったく同じ金額で、性能だけが上がった世代という位置づけになります。
性能の変化がいちばんはっきり出るのは、Artificial Analysisが出しているIntelligence Indexという総合指標です。9つのベンチマークを合成したスコアで、Grok 4.5の56から61へ上がりました。1世代で5ポイントの上昇です。

| 項目 | Grok 4.6 |
|---|---|
| リリース日 | 2026年8月12日 |
| 入力単価 | 2ドル / 100万トークン(4.5から据え置き) |
| 出力単価 | 6ドル / 100万トークン(4.5から据え置き) |
| コンテキスト長 | 500,000トークン |
| 入力できるもの | テキスト・画像・ファイル |
| 知識のカットオフ | 2026年2月1日 |
| 使える場所 | Cursor / Grok Build / API / OpenRouter・Vercel・Cloudflare |
(2026年8月時点・公式ドキュメント参照)
もうひとつ、公式の説明で目を引いたのが学習内容です。領域を指定した強化学習を行っており、挙げられているのはカーネル最適化、Web開発、そしてCADでした。設計図まわりが学習環境として名指しされたのは、このシリーズでは初めてです。あわせて、視覚的でインタラクティブな課題では一発目の完成度が上がったと述べられています。
公式ベンチマークは勝ち負けが割れている

ここが今回いちばん伝えたいところです。総合指標が61でGPT-5.6 Solと並んだ、という部分だけが切り取られて広まっていますが、公式が出している同じ表を全部並べると景色が変わります。
| ベンチマーク | Grok 4.6 | GPT-5.6 Sol Max | Fable 5 Max |
|---|---|---|---|
| GDPVal-AA v2 | 1753 | 1728 | 1741 |
| AA-Briefcase | 1577 | 1502 | 1574 |
| Harvey LAB | 15.8% | 2.5% | 11.3% |
| AA Intelligence Index | 61 | 61 | 62 |
| CursorBench v3.2 | 69.9% | 67.2% | 70.5% |
| DeepSWE v1.1 | 65.9% | 73% | 70% |
| Terminal-Bench v3.0 | 26% | 34.6% | 34.1% |
(2026年8月時点・SpaceXAI公式参照)
単独で首位に立っているのが3つあります。GDPVal、AA-Briefcase、そしてHarvey LABです。とくにHarvey LABは法務まわりの評価で、GPT-5.6 Sol Maxの2.5%に対して15.8%と大きく開きました。この3つはどれもコードそのものより、調査や書類作成といった知識労働に寄った評価です。

逆に大きく離されているのも2つあります。DeepSWEは65.9%でGPT-5.6 Sol Maxの73%に届かず、ターミナル操作を評価するTerminal-Benchにいたっては26%で最下位です。GitHubを触りながら深くコーディングを進めるような仕事は、まだ差をつけられていると読めます。
数字を読むときの注意
これらのベンチマークはすべて開発元による自己申告です。競合モデルの数値は各社が公開しているシステムカードやリーダーボードからの引用であり、開発元が競合を自分で動かして測ったものではありません。公式グラフの脚注にもその旨が明記されています。
ちなみに前世代のGrok 4.5では、比較対象がOpus級やKimi K3と横並びで紹介されていました。今回からFable 5とGPT-5.6 Sol Maxを並べてきたこと自体が、開発元の自信の表れだと感じています。
9つの課題を同じ条件で作らせてみた

ここからは手元の検証です。いつも使っている検証ダッシュボードで、同じ課題文をGrok 4.6とGPT-5.6 Solに同時に渡しました。追加の指示もエラーの指摘も再生成もせず、一度の応答で出てきたものだけを比べています。
課題は全部で9つ。動画共有サイトのUIクローン、正規表現エンジンの自作、コマンド戦闘のJRPG、3Dの玉転がし、3Dアスレチック、ボクセル世界、ミニ表計算、アニメ付きスライド、そして横スクロールの2Dアクションです。
2Dアクションはゲームとして成立するか

まず2Dアクションから見ていきます。Grok 4.6が作ったものは、ジャンプの飛距離が足りずゴールまでたどり着けませんでした。ダメージ判定などは通っているので、部品は揃っているのに遊びとして成立していない状態です。

同じ課題をGPT-5.6 Solに投げたものは、崖に落ちたときの判定も含めてきちんと遊べる状態で返ってきました。ゲームとしての完成度でいえば、こちらに軍配が上がります。
速度だけは明確に差がついた
ただし、この回でいちばんはっきり出たのは完成度ではなく速度でした。9課題すべての生成時間を測った結果が次のグラフです。

合計するとGrok 4.6が3,013秒、GPT-5.6 Solが4,452秒で、1.48倍の速さでした。いちばん差が開いた動画共有サイトのUIでは2.41倍です。ただし全勝ではありません。JRPGとミニ表計算ではSolのほうが速く、9戦して7勝2敗という結果でした。
生成物が大きいほど差が開き、小さい課題では縮まる傾向が見えます。2Dアクションはほぼ互角の1.05倍でした。
UIの生成は見た目が明らかに良くなった

公式が主張していた視覚まわりの向上は、動画共有サイトのUIでよく分かりました。左右に並べてみると、関連動画の一覧やチャンネル登録ボタンといった動的な部分まで作り込まれています。前世代でもそこそこの見た目は出ていましたが、確実に良くなっています。
正確性の面でも収穫がありました。表計算ソフトのようなアプリも、アニメーション付きのスライドも、プロンプトを忠実に読み取って形にしてきます。レイアウトの調整まで含めて、16対9できれいに組み上げてくれました。

実際にやってみて気づいたこと
生成された直後のファイルが、そのままでは動かないことが両モデルとも起きました。原因を追うと、余分な閉じ括弧が1つ、変数の宣言忘れが2件。いずれも1〜2文字のタイプミスで、直したらすべて動きました。設計はできているのに、たった1文字でファイル全体が止まります。生成されたコードをそのまま信じない、という原則を思い出させる出来事でした。
3D表現はまだ発展途上

3Dアスレチックは、キャラクターが床から少し浮いてしまっているのが惜しいところでした。それでも3Dモデルの設計自体には対応できるようになっており、前世代からの進歩は感じます。
一方で個人的に厳しかったのが、マインクラフト風の世界観を再現させた課題です。Grok 4.5よりは良くなったものの、世界観の表現や全体の仕上がりという点ではまだ物足りません。深いところまでコーディングを積み重ねる精度が、この手の課題では効いてきます。
500Kの文脈長に潜む料金の落とし穴
ここは契約して使う前に必ず知っておいてほしい部分です。コンテキスト長は500,000トークンと発表されていますが、料金はその全域で一定ではありません。

| 100万トークンあたり | 20万トークン未満 | 20万トークン以上 |
|---|---|---|
| 入力 | 2.00ドル | 4.00ドル |
| 出力 | 6.00ドル | 12.00ドル |
| キャッシュ読み出し | 0.50ドル | 1.00ドル |
(2026年8月時点・公式ドキュメント参照)
公式ドキュメントには、しきい値に達したリクエストは全トークンが高いほうの単価で課金されると書かれています。つまり20万を超えた分だけが高くなるのではなく、そのリクエスト全体が倍額になります。
実際にどうなるのか気になったので、プロンプトの長さを変えて投げ、請求額から単価を逆算しました。14.8万トークンのときは100万あたり2.03ドル、20.6万トークンでは4.03ドルです。しかも22.8万トークンでも4.03ドルのままで、超えた分だけではなく全体に効いていることが金額から読み取れました。
あわせて注意したいのが、キャッシュ読み出しの単価です。Grok 4.5では0.30ドルでしたが、4.6では0.50ドルに上がっています。長い前提を毎回渡してキャッシュで安く済ませる使い方は、前世代より不利になりました。
長い文脈を使うときの3つの対策
- 20万トークンの手前で会話を畳む。長い履歴はいったん要約してから渡す
- キャッシュを効かせる。ただし前世代より単価が上がっている点は勘定に入れる
- 20万超が常態になる用途なら、最初から別のモデルを検討する
クロードコードやコーデックスと同じ感覚で何も考えずに使うと、トークンの消費量が跳ね上がります。セッションをこまめに切る、キャッシュを整理するといった運用が、このモデルではそのまま費用に直結します。
結局どの仕事に使えばいいのか
ここまでの結果を、仕事の種類ごとに整理します。順位表の1位を選ぶのではなく、自分の作業に合うものを選ぶという考え方です。
| こういう仕事 | 根拠 | 選ぶなら |
|---|---|---|
| UIや見た目の一発生成、試作 | CursorBench・実機での比較・CAD学習 | Grok 4.6 |
| とにかく速く数を回したい | 9課題の合計で1.48倍速 | Grok 4.6 |
| 調査・書類作成などの知識労働 | GDPVal・AA-Briefcase・Harvey LABで首位 | Grok 4.6 |
| ターミナル操作・長時間の実装 | Terminal-Bench 26%・DeepSWE 65.9% | GPT-5.6 Sol |
| 深いコーディングを積み重ねる | ボクセル世界などで表現力が不足 | Fable 5 / Opus 5 / Kimi K3 |
普段の使い方でいえば、ブログの下書き、動画編集の補助、ショート動画の生成、日常的な受け答えといった作業は、同じ結果が出るなら消費の少ないモデルに寄せるのが得です。そういう枠にGrok 4.6を置くと効いてきます。
逆に、ハーネスを設計してから長時間走らせるような仕事は、まだFable 5で作りGPT-5.6で回す組み立てのほうが安定します。ここは今回の検証でも動きませんでした。
まとめ

- Grok 4.6は価格据え置きのまま、総合指標が56から61へ上がった
- 知識労働寄りの3つのベンチで単独首位、一方でターミナル操作は26%で最下位
- 同じ課題9本の実測では合計1.48倍速。ただし9戦7勝2敗で全勝ではない
- UIや見た目の生成は明確に向上、3Dの作り込みはまだ発展途上
- 20万トークンを超えるとリクエスト全体が倍額になる点に注意
モデルの入れ替わりが本当に速くなりました。この記事を書いている時点でも、Gemini 3.7 Flash、Qwen3.8 Pro、DeepSeek V4 Proといった新しいモデルが次々に出ています。全部を追いかけるより、得意分野を切り分けて仕事を割り振るほうが、結果的に消費を抑えながら回せるはずです。
Grok 4.6でいえば、見た目を素早く形にする仕事と、調査や書類まわりが向いています。逆に深いコーディングは別のモデルに任せる。この使い分けだけ覚えておけば、十分に元が取れるモデルだと思います。

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